「目に見える症状が出ていたら精神病、そうじゃなかったら甘え」という考えはあんまりよくない。これは質問者さんの思想じゃなくて、健常者中心社会の風潮だと思うから、あえて否定するような言い方をしてしまうのですが。

例えば、人が自傷行為をする理由のひとつには「わたしは自傷をしてなかったらただ弱気でうだうだ言っているだけの甘えた人だけど、リスカの傷があれば精神病という肩書が得られて、少しでも免罪される」という心理がある。

これは社会からそう見られるということでもあるし、自分にとって気が軽くなるからでもあるのだと思う。「いっそ早く限界を迎えて何でもいいから逃げられるようになりたい」という言葉は、そういうところに端を発しているんじゃないでしょうか？　少なくともわたしは昔そう思っていた。

けど、実際にはただの傷の有無でその人のストレスが変わるわけではないし、目に見える症状がなくたって苦しいものは苦しいよ。だから、生きていたくないとか、働きたくないと思っている自分の気持ちをどうか「わがまま」や「甘え」だと否定しないでほしい。精神病の入口付近にいるすべての人に対してそう思う。

自分自身が自分の最も強い感情や欲求を否定することを繰り返しているかぎり、人の心は決してどこにもいけないと思うから。

そして「好きなことばかりしていたらだめ」なんてことはないですよ。もしそうだったら人は何のために生きているんだろう。現実に辛いことがのしかかっている時こそ、それに立ち向かうために辛いことの10倍ぐらい楽しいことが必要なのに。

娯楽と睡眠をたくさんやって、やり飽きてからじゃないと就活とか労働とか介護とかそういうものに向き合う力はとても出てこないよ……特に、鬱は加速するとまっさきに正常な睡眠と食事ができなくなり、どんな娯楽も楽しいと思えなくなるから、できるうちは本当にそれらを大切にしてほしい。

就活なんてできなくてもアルバイトでどうにかはなるはずだし、きっとうまくいく、うまくいくって信じながら楽しいことをたくさんしてくださいね。そんな簡単に考えられないよって思うかもしれないけど、あなたが少しでも楽になれるように願ってのことなので、どうか許してね。

2022.08